近年SNSの普及に伴い、安易に積雪期の山に登る「登山客」が目に見えて増加傾向にあります。滑落の危険を伴うような山でも、大多数の登山「客」はピッケルを持たず「杖」を頼りに登っています。滑ったら「死」を自覚しての登山でしょうか??…いや、「ピッケルなど持っていても使い方など分からない!」と言う方が大多数ではないでしょうか?
本連盟でも同様の傾向が見受けられるところから、積雪期登山に必須の技術修得を目指して今回、雪上でのアイゼンなしと、あり歩行、及び滑落停止技術の初歩技術を5時間かけて練習しました。
雪の状態は表面5㎝程度に軟雪、その下はある程度の堅さがあり、アイゼン無しの歩行には適切な雪質。この状態では、緩斜面の雪上歩行は体重移動に堅さがあるものの何とか○、しかし15度程度の傾斜が着いてくると個々の技術に差が認められ、さらに30度近くになると差が歴然となった。下り歩行では、緩斜面を除き全員×~△の状態。アイゼン歩行も表面が軟雪という条件もあるが満足のいく状態ではなかった。
次に行った滑落停止訓練では、ピッケルの正しい持ち方、使い方さえ分からない状態から、正しい停止動作のピッケルの位置、角度、体重のかけ方、身体の回転動作、アイゼン装時の注意等々、時間を費やして指導し、最後に実際の滑落を想定して滑落停止を行った。
すべての技術について何とか形になってはきたが、まだまだ安心して積雪の山に登るには、さらに数倍の訓練や研鑽が必要です。
以前は、夏の穗高や剣に入るときは必ずピッケルアイゼンを持参し時間があれば同様の練習を繰り返したものです。SNSには便利なところもありますが、身体で覚えることはできません。今後もこのような講習を積雪期に限らず繰り返して継続していく予定ですが、たくさんの方の受講を期待します。