「『登山学校』の実習登山は雨が降らない」――こんなジンクスが長年スタッフの中では語られつづけてきたが、さすがに今回の実習登山はジンクスが破られるかと思った。でも、直前で天気予報は大雨の予想から降水確率30%に下落。ジンクスは生きていたようだ。6月23日、遅れている梅雨入り前の季節としては良好な天候の中で山行をスタートする。
集合地の蹴上、田辺像前広場に集まったのは受講者53名、スタッフ15名、総勢68名の大部隊である。
琵琶湖疏水沿いの坂道を登ると日向大神宮である。京の「お伊勢さん」と称される独特の造りの外宮・内宮前を通り過ぎると山道に入る。
七福思案処までは木の根が無数に張り出した道で、ここで歩行訓練を行った。歩幅を小さく取り、できるだけ段差を低く選んで足を運ぶ。簡単そうでまどろっこしい。しかし、これが山道の歩き方の基本である。
昨秋の台風の影響で、無数の倒木がコース自体も変えてしまった。歩き方の練習には、荒れた道も倒木も好都合だ。
この日一番のハイライトは、大文字山山頂での出来事だった。大勢の人でごった返すなか、「登山学校」の卒業生に偶然お会いしたこと。しかも二組も。懐かしい顔に尾松校長はじめスタッフも思わず笑みがこぼれれる。
ゆっくりとお話しする時間はなかったが、「登山学校」を卒業されても山登りをつづけ、こうやって山中でお会いできるとはなんと嬉しいことか。
山頂でのんびりしていると上空の雲行きが急にあやしくなってきて、数日前からつづく午後の通り雨に見舞われそうだ。火床に向かって急な下り坂を急ぐ。だが、すぐに青空が戻ってきて、解散地の八神社には予定時刻より1時間以上も早く到着することになった。(M.I) |