ヘッダー2
ヘッダー2
「登山学校」特設サイト

 
「登山学校・基本コース」
space
 第1回[第1コース/テーマ:山の装備の選び方、使い方]
160522_1space160522_3
左=鳥居をくぐって四ツ辻へ  右=靴紐の結び方を説明し練習する
space
160522_5
160522_6
160522_7
160522_8
第1回の参加者(班別で撮影。東山山頂公園で)
space
160522_4space160522_2
左=東山山頂公園から京都市街と西山を望む  右=粟田口への下り(林業の作業によって、道の変更された箇所がある)
space
space
 登山学校の5年目が幕を開けた。
 5月14日に、説明会・開校式・第1コースの室内講習を執り行ない、43名の方が受講者登録をしていただいた。
 第1コースのテーマは「装備・服装」で、学校スタッフの自己紹介を兼ねて、ファッションショーで山の服装を紹介し、基本になる道具を実際に見てもらった。

 実習登山は5月22日。京都一周トレイル「東山-1」からのスタートである。京阪伏見稲荷駅前の疏水横公園に集合したのは、受講生42名とスタッフ10名。初回は予め五十音順で10名ずつに班分けをしておいた。昨今のお稲荷さん人気は凄まじく、世界中から観光客が押し寄せる。集合地で時間を取っている余裕はないのである。4班に分かれて出発し、大鳥居を潜る。既に人の波ができている。今年は若干ルートも変更した。千本鳥居はお客様にお譲りして迂回し、その上のトイレからルートに戻る。この日の気温は30度になると予想されていた。石段の登りにかかると、すぐに汗が噴き出してきた。四ツ辻で最初の休憩をとる。暑い日の飲料水は重要な基本装備の一つである。天気は好いが、街のパノラマは薄ぼんやりと霞んでいた。
 参道を離れると人の喧騒は遠のく。初対面同士の受講者の間に、会話が少しずつ生まれてくる。「京都一周トレイルは、世界に誇れる名刹、古刹の玄関を素通りして行きますから、お参りは各自別の機会になさってください」と言いながら、泉涌寺の前を通過する。しかし、今熊野観音寺に立ち寄るのは恒例になっている。菩提樹の木陰で涼み、おトイレを拝借し、ボケ封じの願をかける。
 「装備・服装」というテーマながら、初回のスタッフはどうしても京都トレイルの紹介に走ってしまう。鳥戸野と剣神社についてのうんちくを垂れながら、住宅街を進む。この辺りは山の中よりも迷い易い部分であり、騒音を立てないというマナーにも気をつかう所である。市民の協力で保たれている里山トレイルであることを知っていただきたい。ところが、街歩きからズボッと「京女の森」に入ると一転。薄暗く静かな山道となり、その急な環境の変化に一列縦隊の口数も少なくなった。しかしそれも束の間、国道1号の横断という難所を迎えコンクリートの暑さで現実に引き戻された。
 清閑寺から再び山に入り、清水山をめざす。その道すがら、ザックの背負い方や機能について少し説明した。ほとんどの方が、上手く担がれていてちょっと拍子抜け。
 清水山はこのコース唯一の三角点があり、平坦な疎林のピークである。三角点は今後の実習で何度もお世話になるので、じっくりと紹介した。時刻は12時半、昼休憩とする。ここでも水分補給を促した。
 実は今回初めて、三角点の南50mほどに錆びた鉄塔が建っているのを知った。戦時中の監視塔だったそうである。鉄骨の間を伸びた木が突き抜けていて、時の経過を物語る。京都市街では戦時中の遺構を見ることはあまり経験がないが、こんな山の中で出合うとは驚きであった。
 東山山頂公園に向かう。途中の小池では今年もモリアオガエルの卵を見ることができた。清水寺の裏にあたる分岐には古い石の道標が立つ。いま見ると、左右の案内が一見逆に思えるが、昔の表示は石の一面を真正面に見た時に正しい案内になるように刻んであると教わった。なるほど。
 山頂公園では、最後のトイレ休憩の後、学校推奨の靴紐の結び方を講習した。肝心なのは、「邪魔臭がらず、侮らず、足先から丁寧に締め上げ、フックで絞り、しっかり結ぶこと」。
 公園からの下りには、受講者各々が改めて締め直した靴の感覚を確かめられたと思う。下り切る前の尊勝院では、持っている人にコンパスを出してもらい、磁針に慣れる第一歩も踏み出せた。
 粟田口に着き、三条通りを経て、インクライン上の田辺朔朗像前が第1コースのゴールである。ここはまた、次回第2コースの集合地点でもある。少し早く着いたので、整理運動のストレッチを時間をかけて行なった。室内講習で説明した基本装備の中でも、天気の好いトレイルでは実際には使用しないものが多い。今回要らなかったから次回も要らないだろうと、そのままズルズルと備えないままになると危険である。最後にそうひとこと言わせてもらった。
 かなり蒸し暑かったにもかかわらず、途中リタイアする人もなく、事故もなく、全員無事に下山できた。学校5年目のスムーズな出航となった。(Y.T)


《時間記録》  疏水横公園(9:00集合、9:15出発)〜四ツ辻(10:00)〜今熊野観音寺(11:00)〜
清水山(12:30)〜東山山頂公園(13:30)〜尊勝院(14:45)〜田辺朔朗像(15:15、15:45解散)
space
space
→ 「登山学校・基本コース」
→ Home

© Kyoto Alpine League 2011